2013年9月12日木曜日

オリンピック決定で湾岸マンションの供給が活発化

 東京五輪の開催決定を受け、住宅・不動産、都市関連で様々な動きが予想されている。中でも活発化そうなのが湾岸マンションの販売や不動産ファンドによる物件取得。一方で建築費の高騰懸念のほか、日本橋上をはじめとする首都高のあり方も注目されている。

 五輪の中心地となるのが選手村(約44ha)を整備する晴海地区。現在、三菱地所レジデンスと鹿島建設が2棟建て超高層マンション「ザ・パークハウス晴海タワーズ」(総戸数1744戸)を販売中。このほか、住友不動産が「ドゥ・トゥール キャナル&スパ」(1666戸)の販売活動に11月から着手し、来春にも販売開始予定。鹿島は、三井不動産レジデンシャル、地所レジ、住友商事、野村不動産などと勝どき5丁目で1300戸規模のマンションを来春、販売する予定。三井不レジは、晴海に約1.9haのマンション用地を確保している。

 周辺湾岸エリアでは、豊洲で三井不レジ、東京建物、地所レジ、東急不動産、住友不、野村不動産の大手デベロッパー6社が「東京ワンダフルプロジェクト」(1660戸)、月島では、三井不レジと野村不が「キャピタルゲートプレイス」(総戸数702戸、販売戸数495戸)を販売中。有明では、住友不が「ブリリア有明シティタワー」(東京建物と共同、600戸)と「シティタワー有明」(484戸)を販売中のほか、有明北に11ha規模の複合開発用地を持つ。同じ有明北で大和ハウス工業はこのほど、都市再生機構から3.6haの事業用地を取得した。

 湾岸での開発・用地案件は、五輪選手村の整備・運営の事業者募集が来年春頃とされるほか、豊洲新市場隣接地の観光施設「千客万来施設」の整備・運営事業者募集が今秋、有明3丁目の商業用地「有明南K区画」(5700m2)も事業者を募集している。いずれも東京都の案件。このほか、カジノ・MICE施設の整備を巡り、次期国会に推進法が提出される運びであり、今後2~3年程度で台場(あるいは、羽田)にカジノ・MICE施設が整備される見通しだ。羽田の国有地や、品川~田町間のJR用地が東京を再構築する種地となるとみられる。

不動産ファンドは、アベノミクスへの期待から8月に、香港のアジア・パシフィック・ランド、アブダビ投資評議会、米国のCVスター、セキュアード・キャピタル・インベストメント・マネジメントの4社が「芝パークビル」(通称・軍艦ビル、東京・港区芝公園)を1170億円程度で取得。米投資ファンドのフォートレスも、浦安市舞浜の「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」を450億円弱で取得した。今後のインフレ予想に、五輪も加わり、値上がり益を見込む不動産投資が活発化するとみられる。五輪に向け、交通ネットワークの整備(成羽線、蒲蒲線、地下鉄8号線の豊洲延伸など)が進むとみられ、土地のポテンシャル向上も見込まれる。

 一方、建築費の高騰懸念が中堅マンションデベロッパーを中心に高まっている。「上昇している建築費の更なる高騰が懸念」(中堅デベロッパー)、「用地に建築費も高くなっている現状では、懸念があるのは確か」(別の中堅デベロッパー)としている。

 日本橋上部をはじめとして、首都高のあり方もクローズアップされそうだ。三井不動産の菰田正信社長はこの件で、「都市再生の課題の一つ。老朽化したが、急いで造られ、川の上を走っていること、都市の中心を循環していることに関して、今後の計画はどうなるのか」と指摘する。

                                            (提供:日刊不動産通信)

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